ダイソーコスメ「coou」「MFL」のリキッドアイライナーが青404号を含むことを理由に、2023年8月28日から商品回収を行なった。
そのあと別の会社(リベルタ「FIX二重アイライナー LB」)も同様に、青404号がアイライナーの原材料に含まれることを理由に商品回収を実施した。
青404号って具体的にどういう健康被害の恐れがあるものなんだろう?ということで確認をしてみました。
青404号とはタール色素の1つ
青404号(青色404号)は「着色料」です。
色名が付いているから目的の予想はしやすいですね。
厚生労働省が昭和41年(1996年)に定めた医薬品、医薬部外品および化粧品に使用することができる有機合成色素(タール色素)の1つで、「法定色素」と定められています。
もともと「コールタール:石炭の副産物」を原材料としていたため、それにちなんで「タール色素」と名付けられました。
ただ近年は石炭よりも石油から作られる芳香族炭化水素が主原料の傾向にあります。
パッと見「青色していないから大丈夫!」とは限りません。
なぜなら単体だけではなく他の着色料と混色している可能性があるからです。
実際、ダークブラウン・オレンジブラウン・ピンクブラウンなど…青色から想像する色とは全く異なるカラーが商品回収対象となっています。
タール色素(青404号含む)が人体に与える危険性
- 発がん性
- アレルギー
- 色素沈着
- くすみ
などが懸念されると言われています。
では全てのタール色素が非常に危険なのか?
「色名+数字(例:青404)」が成分表示にあると過敏に反応しないといけないのか?
食品の着色料として使用されているものだってあるじゃないか。
どれが特に気をつけないといけないの?
といことで国内で定められている法律を確認してみました。
昭和41年厚生省令第30号の別表第3部に化粧品はどのように規定されている?
薬事法(現在は薬機法)の規定に基づいて、厚生労働省は昭和41年に「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」という厚生省令を定めています。
この中の第3条に化粧品に関しての記述があります。
法第六十二条において準用する法第五十六条第九号に規定する厚生労働省令で定めるタール色素は、次の各号の区分に従い、それぞれ当該各号に掲げるタール色素(別表に規定する規格に適合するものに限る。)とする。ただし、毛髪の洗浄又は着色を目的とする化粧品については、すべてのタール色素とする。
一 化粧品(次号に掲げるものを除く。) 別表第一部及び第二部に規定するタール色素
二 粘膜に使用されることがない化粧品 別表第一部、第二部及び第三部に規定するタール色素
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81074000&dataType=0&pageNo=1 厚生労働省
…法律系ってなんでこんな分かりにくい言い回しするんですかね?
なんかもう1行目で読む気を削いできますね←
表に整理してみます。
第一部 | 第二部 | 第三部 | ||
化粧品 | ○ | ○ | × | 原則 |
粘膜に使用されない化粧品 | ○ | ○ | ○ | 例外 |
毛髪洗浄・カラーリング剤 | ○ | ○ | ○ |
つまり粘膜に触れる可能性のある化粧品には、別表第三部に記載されているタール色素を使ってはいけないよ!ってことですね。(粘膜に触れない化粧品なら例外として入れてもOK)
※リンク:医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年厚生省令第30号)
厚生労働省の公式ページの中の該当ページです。
どうして「粘膜」が基準となるのか?
粘膜には角質層がないため、皮膚によるバリアが働きません。
そのため、皮膚で覆われている場所よりも吸収しやすい傾向にあります。
つまり、同じ程度の量でも、粘膜に使用すると他の部分よりも多く成分が吸収されてしまう危険性があります。
そのため一つの基準として「粘膜に触れる可能性のあるもの」と規定されたのではないか?と、私は捉えました。
(ちょっとその辺詳しく書かれたところを見つけられなかったので…多分薬機法とか学術論文とか含めてガッツリ調べたら出てくるんだろうけど現時点でそこまでする気がない←)
粘膜に触れる可能性のある化粧品とは?
とりあえずパッと考えつくのは目元・口元系ですね。
- アイライナー
- リップクリーム
- リップティント
- 口紅
- 口腔ケア系(歯磨き粉、洗口液など) etc.
青404以外に別表第三部に記載されているタール色素とは?
「昭和41年厚生省令第30号の別表第3部に記載されているタール色素」は粘膜
実は青404号以外にも記載されているんです。
何とその数は27種。
つまり今回はたまたま青404号が商品回収の理由として引っかかったけれど、他にも同様の「昭和41年厚生省令第30号の別表第3部に記載がある」という理由で商品回収される着色料がこんなにもあるんですね。
- 1 赤401号(別名ビオラミンR(Violamine R)
- 2 赤404号(別名ブリリアントファストスカーレット(Brilliant Fast Scarlet)
- 3 赤405号(別名パーマネントレッドF5R(Permanent Red F5R)
- 4 赤501号(別名スカーレットレッドNF(Scarlet Red NF)
- 5 赤502号(別名ポンソー3R(Ponceau 3R)
- 6 赤503号(別名ポンソーR(Ponceau R)
- 7 赤504号(別名ポンソーSX(Ponceau SX)
- 8 赤505号(別名オイルレッドXO(Oil Red XO)
- 9 赤506号(別名ファストレッドS(Fast Red S)
- 10 橙401号(別名ハンサオレンジ(Hanza Orange)
- 11 橙402号(別名オレンジI(Orange I)
- 12 橙403号(別名オレンジSS(Orange SS)
- 13 黄401号(別名ハンサイエロー(Hanza Yellow)
- 14 黄402号(別名ポーライエロー5G(Polar Yellow 5G)
- 15 黄403号の(1)(別名ナフトールイエローS(Naphthol Yellow S)
- 16 黄404号(別名イエローAB(Yellow AB)
- 17 黄405号(別名イエローOB(Yellow OB)
- 18 黄406号(別名メタニルイエロー(Metanil Yellow)
- 19 黄407号(別名ファストライトイエロー3G(Fast Light Yellow 3G)
- 20 緑401号(別名ナフトールグリーンB(Naphthol Green B)
- 21 緑402号(別名ギネアグリーンB(Guinea Green B)
- 22 青403号(別名スダンブルーB(Sudan Blue B)
- 23 青404号(別名フタロシアニンブルー(Phthalocyanine Blue)
- 24 紫401号(別名アリズロールパープル(Alizurol Purple)
- 25 黒401号(別名ナフトールブルーブラック(Naphthol Blue Black)
- 26 1、5から7まで、9、11、14、15、18、19、21、24及び25に掲げるもののアルミニウムレーキ
- 27 11及び21に掲げるもののバリウムレーキ
海外ブランドの現地購入・並行輸入・個人輸入の注意点
昭和41年厚生省令第30号は、薬事法(現在は薬機法)に基づいて作られた日本の法令です。
海外と共通している規定ではありません。
つまり日本で禁止されているけれど海外では使用OKのものもあり、逆に日本では使用OKだけれど海外では禁止されているものもあることに注意しましょう。
海外ブランドの日本支店での購入
海外ブランドの製品を日本の支店(店舗)で購入する場合は、日本仕様で作られているから基本的には気にしなくても大丈夫です。
ただし企業も人間。
海外コスメだろうと日本のコスメだろうと、たまにうっかり含めてはいけないものを含有して商品回収になったりもするでしょう。
海外ブランドの現地購入
海外の現地で購入する場合は成分が異なる場合があります。
ルールが違うので当たり前。
だから同じブランドの同じ商品名のものなのに、海外で購入したら刺激が強く感じたり、効果に差を感じるということがあるのは、そういう理由なのですね。
並行輸入
「海外で販売されている商品を正規代理店ルート以外のルートで輸入」したものです。
あくまでも「輸入」されたもの。
つまり日本向けに作られたものではないので、現地購入と変わらないと考えるべきでしょう。
個人輸入
個人輸入は「自分で楽しむ(使用する)ために輸入」したものです。
つまり日本向けに作られたものではないので、こちらも現地購入と変わらないと考えるべきでしょう。
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